分科会活動

Research Groups

分科会名代表者  
立法府の分析評価機能強化に関する分科会廣野良吉(成蹊大学)
社会実験分科会田辺智子(早稲田大学)
評価倫理・スタンダード分科会小林信行(OPMAC株式会社)
学校評価分科会橋本昭彦(日本女子大学)
科学技術評価分科会白川展之(新潟大学)   
発展的評価分科会中谷美南子(評価コンサルタント)
社会的インパクト評価分科会今田克司((一財)CSOネットワーク)
価値判断のあり方研究分科会佐々木亮((株)国際開発センター)

立法府の分析評価機能強化に関する分科会

代表者:廣野良吉(成蹊大学)

目的:「立法府の分析評価機能強化に関する分科会」は、国会の政策分析評価機能を高めることにより国会強化を図る手立てを討議検討することを目的とする。本分科会は、2018年3月より活動を開始している。分科会では、行政の力が強く国会の力が弱い我が国の伝統的状況を踏まえ、OECD諸国の一員として3権分立という議会制民主主義体制の確立に不可欠な国会の機能強化のための手立てを広く検討する。
 その一環として、国会の政策分析評価機能を高める手立てを検討する。国会の主な仕事は法律の決定であるから、議員立法案はもちろんのこと、行政から提案された法案を厳しく分析評価する機能が必要である。さらに、政策は予算という形で具現化されるが、この予算に関して近年、先進国において財政赤字が拡大し、公的債務が肥大化する問題が起きている。この公的債務肥大への解決策の1つとして、先進諸国では、独立財政機関(Independent Fiscal Institution:IFI)を設立し、立法府の政策審査・予算審査機能を支援する取組が広がっている。先進諸国の中でも最大規模の公的債務GDP比率をもつ日本においても、この独立財政機関を国会所属の機関として設立することにより、国会の予算委員会を補佐することが必要と思われる。本分科会はこの日本版独立財政機関の設立可能性について検討するものである。

『立法府の分析評価機能強化に関する分科会』活動報告(2020年7月29日)

社会実験分科会

代表者:田辺智子(早稲田大学)

目的:テレビや雑誌の暴力描写は、子供たちの非行 を誘発しているのだろうか? 死刑制度は、犯罪抑止の効果があるのだろうか? 小学校からの英語教育は、大人になったときの英語能力を向上させるのだろうか? 少人数クラスは、「いじめ」の減少に効果があるのだろうか? 失業保険給付金を仕事が見つかるまで払うよりも、仕事が見つかったらまとまった額のボーナスを払う方が早く仕事につくのではないか? これら私たちが普段疑問に思っていることに、実験デザイン(別名:ランダム化比較試験あるいはその略称でRCT)という評価手法を適用することで、政策決定のためのひとつの判断材料を提供できる可能性がある。本分科会は、実験デザインによる評価について研究を深め、その適用を拡大することを最終的な目標とする。

評価倫理・スタンダード分科会

代表者:小林信行(OPMAC株式会社)

目的:倫理規程は、専門職団体が自ら職務遂行に際しての規範を提示するものであり、公認会計士、弁護士、医師など、他の専門職の団体でも必ず倫理規程が定められている。評価分野においても、アメリカ評価学会が1994年に「評価者のための基本原則」を採択し、継続的に改定を行っている。また、アメリカでは評価の質に関する規準となる「プログラム評価スタンダード」も策定されている。わが国でも、日本評価学会が2012年に「評価倫理ガイドライン」を策定し、評価の実践に対して行動規範を提示するに至った。しかし、評価を取り巻く環境の変化や評価手法の開発等により、評価の実践において考慮すべき新たな倫理面の課題は常に生じている。新たな課題への不断の対処を目指し、本分科会は「評価倫理ガイドライン」の改定、運用、普及に関する提言、評価倫理及びスタンダードに関する研究発表を主な活動内容とする。

分科会ホームページはこちら
(「評価者倫理ガイドライン」(2012年12月1日)をダウンロード)
Download “Guidelines for Ethics”(November 6, 2013)

学校評価分科会

代表者:橋本昭彦(日本女子大学)

目的:学校評価とは、子どもたちの教育状況や学校運営の改善を目指すものである。国は2007年に学校評価を法制化したが、その後、子どもたちや学校のおかれた環境は大きく変わってきており、学校評価をアップデートする必要がある。このような流れを踏まえ、学校評価分科会では、教育内外の諸領域において展開する評価実践・評価研究の成果を持ち寄って、学校をはじめとする教育経営の現場における「実効性ある多様な評価 」の展開や、評価を活用する「土壌」や「仕組み」づくりなどに関する新たな知見の創出を目指す。メンバーは、分科会での課題やそれぞれの関心に基づき、着想・情報・実践・研究などを交換しあい、可能な協働をする。

科学技術評価分科会

代表者:白川展之(新潟大学)

目的:本分科会では、科学技術・イノベーション政策にかかる政策評価・独立行政法人評価および研究開発評価等を対象とし、学際・融合的な諸研究を総合し推進すること、またその全体像をわかりやすく体系化し現場の当事者に還元すること、もってとその共創による学としての発展を目指すことを目的とする。上記の目的を達するため本分科会では、国立研究開発法人や大学等の研究開発マネジメントに従事する実務者・研究者、研究対象として科学技術イノベーション政策を扱う研究者および国内学の関連学会との横断的ネットワークの構築を目指すものである。科学技術の評価の目的は、学術的な新規性、プロジェクトの採択、経済的なインパクト評価など多元的である。評価の主体も省庁レベル、研究開発法人レベル、大学法人レベル、個々の研究室や研究者のレベルと、多様かつ多層的あり、その中でマネジメントの改善とアカウンタビリティ追及のための評価が混然一体となって行われている状況にある。

発展的評価分科会

代表者:中谷美南子(評価コンサルタント)

目的:本分科会では、複雑でダイナミックな環境下で営まれる社会イノベーションや適応的な事業発展プロセスを評価するために編み出された評価アプローチとして認知度が高まりつつある発展的評価(Developmental Evaluation)に注目し、その理論的位置付け、実践上の課題、伴走における評価者の立ち位置と倫理、等についての研究を深めることを目的とする。

社会的インパクト評価分科会

代表者:今田克司((一財)CSOネットワーク)

目的:2010年代中盤より注目されている社会的インパクト評価。インパクト投資における評価、社会課題解決に向けた様々なセクターにおける取り組みの成果の可視化のための評価として知られるようになってきているが、評価学・評価研究との接合はまだ緒についたばかりである。本分科会では、評価研究から見た社会的インパクト評価の概念整理を試み、各所で社会的インパクト評価の名のもとに実践が始まっている取り組みを批判的に検証することで、その位置付け、意義、有用性について継続的に研究していくことを目的とする。

価値判断のあり方研究分科会

代表者:佐々木亮(国際開発センター)

目的:「評価は物事の価値を体系的に明らかにする行為」と定義されることがあります(Evaluation is systematic determination of values of things (Scriven, M. 1993))。また、評価は事実特定+価値判断と言われることもあります(Evaluation = Factual Premise + Value Premise)。日本における評価研究の状況を顧みると、事実特定の部分は近年のエビデンス重視の流れの中で分析方法が精緻化されてきたと言えます。これに対して、価値判断の概念化や精緻化は遅々として進んでいないのが現状と言えます。こうした状況を踏まえて、価値判断のあり方に関する研究を行い、より深化させることを目指します。 Scriven, M. (1993). Evaluation Thesaurus (4th ed.). Sage Publication