今日、あらゆる分野における活動は、その進歩・向上のために、活動内容の確認とそれに基づく改善を必要としている。活動内容の確認のためには、現状の把握が必要であり、改善のためには現状を評価し、課題を整理して対策を立案することが求められる。加えて、近年、公共的な活動やNPO等の社会的な活動を中心として、広く国民一般に対する透明性確保、説明責任の遂行のために、評価の重要性が強く認識され、評価に関する研究の必要性が叫ばれるようになってきた。評価が慣行として定着しつつある欧米諸国では、官民の各種活動に関する客観的な評価への実務面での取り組みが進んでおり、公共的な事業における評価に関する研究にも蓄積が見られる。この点で、欧米諸国は、評価に関して先進的な位置にあるということができる。我が国でも、民間セクターにおいては既に経営・人事・技術などに関して評価がシステムとして取り入れられ始めており、また、公共セクターにおいても、公共事業の経済性評価や開発援助事業の評価など、各種評価の取り組みが試みられてきた。しかしながら、それらの取り組みは未だ充分とは言えず、評価が今後の重要な課題として残されているのが現状である。
例えば、政策評価、施策評価、事業評価など、行政評価の範疇に入る様々な評価についても、評価対象の範囲やレベルによる分類の明確化が必要である。また、政策内容の評価と実施過程の評価では評価の視点が異なるが、その境界にも不明瞭な部分がある。また、これまで我が国には透明性や客観性を重視した評価の慣行があまり定着していなかったことから、そのための評価手法や技術に関する経験や研究の蓄積も十分とは言い難い。
このような背景のもと、我が国においても、国際社会に通用する評価活動の定着と評価活動に関わる人材の育成を推進するために、評価に関する研究の必要性が高まってきている。そこで、評価に関する研究者や評価を実践していく実務家の研究と交流の場として、新たな学会の設立を提唱するものである。
また、評価は、高度な専門的知識が要求されるような分野を含め、様々な分野における活動を対象として行われる活動であることから、本学会は、対外的に開かれた学会とし、既存あるいは新規の他の学会などとも協力関係を深めることにより、その研究と実践の質の向上を目指すものである。